知床が世界自然遺産に登録されているということをご存知でしょうか?知床が自然遺産に登録されたのは2005年の7月17日です。これは、1993年の12月に自然遺産として登録された、「屋久島」、「白神山地」に次いで3番目の登録です。今回は、知床自然遺産がどこにあり、なぜ世界自然遺産に選ばれたのか、そして見どころなども合わせてご紹介していきます。
知床世界自然遺産はどこにあるの?
知床は、北海道北東部に突き出した半島です。世界自然遺産に登録されているのは、羅臼(らうす)町と斜里(しゃり)町とにまたがるこの地、さらにその沿岸の海、約7万1100haです。
これは現在4つある日本の自然遺産、「屋久島」、「白神山地」、「知床」、「小笠原」(自然遺産登録順)の中でも最大の広さを誇っています。
知床が世界自然遺産に選ばれた理由とは?
では、なぜ知床が自然遺産に選ばれたのか。それには次のような理由があります。
ポイント①知床の豊かな生態系
知床には豊かな生態系が存在します。それは、知床にしかない食物連鎖が鍵となっています。
知床の冬の海を覆いつくすほどの流氷が、栄養豊富なプランクトンも一緒に運んできます。そのプランクトンがクジラやアザラシなどの海獣類また、海鳥・オオワシなどの鳥類、それら海で生きる命を育む糧となっています。
さらにこの海で育ったサケが川に戻ることで、知床の山で生きている生き物たちの餌となり、山の生き物たちが息絶えた後の死骸は山の土に返り、山を豊かにするのです。
この海と山との生命の循環が、相互に作用し知床の自然の価値を高めてくれています。
ポイント②絶滅危惧種の存在
知床には絶滅が危惧されている、シマフクロウやシレトコスミレといった希少な動植物が複数存在しています。
また、世界的に見ても希少なオジロワシやケイマフリが繁殖し、ヒグマやエゾシカ、アザラシやトドなどの大型哺乳類も生息しています。
渡り鳥であるオオワシにとっても知床は大切な環境となっています。このように多種多様な動植物にとって、命を支えるのに必要な資源が豊富にあるのです。
ポイント③環境の保護管理体制の充実
知床は、日本初の科学的調査に基づいて国が保護管理を行う自然公園です。
動植物の保全だけでなく、その生息域である森林や海、川の管理計画を「知床世界自然遺産地域科学委員会」が担い、「知床国立公園利用適正化検討会議」によって人の利用と自然の保全の両立を目指し、「知床エコツーリズム推進協議会」なども設置され、遺産地域の管理計画を自然科学・社会科学の両面から立案しています。
このようにして世界自然遺産としてふさわしい環境保護管理ができることも高く評価されました。
知床世界自然遺産の見どころは?
知床五湖
知床の原生林に囲まれた5つの湖です。ここには5つの湖を1時間ほどで1周することのできる遊歩道があり、多くの動物や植物と出会うことのできる神秘的な場所です。湖面に映る知床連山や緑の木々たちが、幻想的な世界を作り出しています。知床八景の一つにもなっています。
カムイワッカ湯の滝
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知床硫黄山の中腹から湧き出ている温泉が滝壺に流れ込み、流れる川が天然の露天風呂のようになっています。ここも知床八景の一つになります。
フレペの滝
「乙女の涙」とも称されるこの滝は、知床連山に降り注いだ雪や雨が浸透したものが流れ落ちています。崖をつたって静かに流れる滝です。知床八景の一つに挙げられています。
夕陽台
きれいな夕陽が見られるスポットです。知床国設野営場の一角にあり、若い旅人たちの人気デートスポットとしても有名です。沈みゆく夕陽と流氷の色のコントラストも美しく幻想的です。
プユニ岬
オホーツクの海岸線が一望できる絶景スポットとして有名です。
知床国立公園のオホーツク海側の入り口となっている、ウトロ港も一望できます。
冬には流氷も見られることもあり、壮大な自然を感じられる場所です。