シマフクロウとは、翼を広げた時の大きさは約180cm&体重は3~4kgほどで、国内では知床半島などを含む北海道の東側にのみ生息している鳥です。
シマフクロウが住むことができる森が人の手によって消滅してしまったことで、シマフクロウの数はどんどん減ってしまい、現在は絶滅危惧種IAランクに指定されています。
本日は「シマフクロウ」について知るとともに、シマフクロウを守るために私たちができることをまとめて行きたいと思います。
シマフクロウとは?
シマフクロウはどんな鳥?
まずは、シマフクロウの基本的な生態についてご紹介していきます。
「頭から尾羽の先までは約70cm」
→中型犬が座っているくらいの大きさです。
「翼を広げると約180cm」
→なんと畳の長さと同じくらい。
「体重は3~4kg」
→秋冬にかけて最も重くなり春先にかけて軽くなります。
「オスメスの見分けはあまりつかないがメスの方がやや大きく見える」
「頭らへんに耳のような形をした羽がある」
「啼き声は外敵への威嚇、求婚、なわばり宣言、子育ての始まりの際に発声する」
→中でもオスメス交互に啼く「ヴーヴー(オス)ヴォー(メス)」という声を啼き交わしと呼びます。
「主食は魚」
→アメマス、ヤマメ、カラフトマス、シロザケ、川が凍る季節には海の魚も捕まえます。また、ネズミや鳥、エゾアマガエルなども食べます。
→近年は川の環境の変化によりエサとなる魚が少なくなってきていますが、人工的に一時的な給餌池を作るなどして、かつてシマフクロウが多く生息していた頃の環境に近付けるなどの取り組みが行われています。
シマフクロウはどこに住んでる?
「針葉樹&広葉樹が混在する森が広がるロシアと中国の国境周辺が生息場所の中心」
「同じような環境(森)が残る北海道の道東にも生息するが本州~南には生息しない」
→ より詳しい地域は、知床半島&その周辺、根室半島&その周辺、東部太平洋側、十勝地方、日高地方などです。以上の地域には、多くの魚が生息する川が流れています。
「シマフクロウは人が暮らす側で共存する鳥」
→ アイヌの人達は村の守り神(コタンクルカムイ)としてシマフクロウを敬っていました。
「シマフクロウは年間を通してなわばりの中でのみ生活する」
→巣作りの場所、食べ物、安心して休める場合としてなわばり争いが起こる時もあります。
「シマフクロウは大木にある胴に巣作りをする」
→巣は1ヶ月以上ヒナを暖め、育てる場所です。このような大木は今はあまり多くないため、環境省によって人工的に作られた巣箱を利用します。
シマフクロウが大人になるまでの流れとは?
「シマフクロウの産卵個数は一度にだいたい2個程度」
→卵の大きさはニワトリより一回り大きいくらいで真っ白です。少なく産んで大切に育てるのがシマフクロウの特徴です。1度目の産卵の2.3日後にもう1個産卵しますが、兄弟間で大きさに差があり巣立つのは先に生まれた方です。食料確保ができずに、後で生まれたヒナは育てられない場合もあります。
「産卵時期は3月頃でメスのみが暖め続け35日程度でヒナが誕生する」
→オスはこの間に食べ物をメスに届けます。
「子育てが大変なのはどの動物も同じ」
→ヒナが成長するにつれて必要な食料の量も大きく増えるため親鳥の狩りは大変なものとなり、給餌池を頼らざるを得ません。
「巣立ったばかりのヒナには常に危険が伴う」
→2ヶ月経たないうちに巣立ったヒナは二度と巣に戻ることはなく、まだ飛べない&好奇心旺盛なヒナはあちこち動き回るため常に危険が付き物です。外敵(キツネ、野良犬、アライグマなど)から守るため親鳥はなわばり内を動き回るヒナの安全に気を配ります。
「旅立ち後の若鳥はなわばり&つがい相手探しの旅に出る」
→生後1年~2年後で若鳥は親のなわばりから旅立ちます。(2年以上居候するものもいる)
→つがい相手探しは鳴き声で相手の姓を判断しますが、独身のシマフクロウは中々いないため、時になわばり&メスを賭けたオス同士の激しい争いが起こります。太く低い鳴き声を持つものが勝利します。
→まだ誰のなわばりでもなく、理想的な環境が揃う場所は中々ないため、人工的な巣箱や給餌池に若鳥の未来がかかっています。
※あまりにもつがい相手がいない場合、近親同士での結婚もありますが、同じ遺伝子同士の間に生まれた子供は先天的な遺伝子異常や奇形などのリスクが大きく、望ましいものではありません。
シマフクロウが減ってしまったわけとは?
シマフクロウは、日本版レッドデータブックで絶滅危惧種IAランクに指定されています。
ここまで数が減ってしまった理由は大きく分けて2つ挙げられます。
①人間優先の社会の中で行われた大規模開発によって、シマフクロウが暮らすのに最適な広葉樹林帯が消滅したこと
→魚や昆虫や小動物などの多様な生物が生息し、巣作りできる大木があるような森林が激減し、今は人工的な巣箱や給餌池の設置が行われています。これは一時しのぎであり、今後シマフクロウが暮らせるような緑の環境をまた復活させて行かなければなりません。
②交通事故や感電事故
→餌である魚を求めて低く飛び交うシマフクロウが車に轢かれたり、止まり木として利用した電柱の電線に翼が触れてしまい感電死してしまったりと、人の暮らす環境の近くで共存するシマフクロウには危険が隣り合わせなのです。
シマフクロウを守るために私たちができることとは?
・シマフクロウを追いかけたり、写真撮影に用いる望遠レンズを向け続けたり、なわばりの中に居座ったりしない(シマフクロウがゆっくりと過ごせるように)
・ポイ捨てなどで川を汚さず、釣りをする時はできるだけ返しのない針を使ってキャッチアンドリリースを心がける(シマフクロウの大切な食料である魚を守るため)
・川沿いに旗が掲げられている所を車で走行する際は低速を心がける(事故防止)
いかがでしたか?
丸みを帯びたフォルムがとても愛らしいシマフクロウですが、絶滅の危機に晒されている貴重な生き物なのです。
人と共存するシマフクロウは私たちにとっても身近な存在ですよね。また数多くのシマフクロウが見られる日が来るように、私たちにできることをそれぞれが心がけて行きましょう。